ワンランク上の店舗改装
O野は、クルマが住民の交流をなくすという建築界の思い込みを否定する。
実際に地方都市を観察すれば、むしろ人々はクルマを通じて生活しているからだ。
広場のほうが嘘っぽい。
自動車を敵視する観念論ではなく、現場のリアリズムが建築に必要だと強調する。
ちなみに、K川寮は、中庭を囲んでスパイラル状に旋回しながら連続し、道路沿いに各部屋が展開するような構成だ。
ロードサイドの感覚を空間にとり込む。
O野は教育者として、大学の設計課題で興味深い試みを行った。
建築学科では美術館や学校などの公共施設が出題されるのが相場と決まっている。
でも、将来、建築家になっても、そんな仕事が入ることはめったにない。
学生も、たまに行く美術館よりも、ファミリーレストランを日常的によく使う。
そこでロードサイド・ショップを課題に選んだ。
学生も熱心に課題に取り組んだらしい。
ある学生は、現在のロードサイド・ショップは道路側にだけファサードを工夫しているが、奥の駐車場に降りて、店に入るまでの見え方も考えるべきではないかと提案した。
そうでないと、食べる前に興ざめしてしまう。
つまり、ファサードを二重化するのだ。
O野は、ドライブスルーも建築的に発展できる余地があると語る。
車を視野に入れることで、きっと建築はもっと面白くなる。
都市計画は、20世紀初頭に決めた歩車分離を金科玉条にしてきた。
理想都市において駐車場は日陰の存在だ。
地下ならともかく、地上のパーキングタワーは無表情な外観をして、身を隠そうとする。
どことなく申し訳なさそうだ。
M・W・AよるV・Sのプロジェクトは、逆にパーキングタワーを公共の空間に変え、都市のシンボルにする。
例えば、派出所、郵便局、地下鉄駅、情報の端末、屋台などの機能を複合させ、都市の見えないネットワークを見えるようにするのだ。
他にも、ルービックキューブのような駐車場のプロジェクトもある。
ブロックを積むように空地を埋め、ファサードにはにぎやかなサインがつく。
空間の一部は、コンビニやファーストフード店になってもいい。
また自動車と同じ部屋で泊まるモーテルになるかもしれない。
駐車場が閉鎖的にならず、都市にアクティビティを与えるのだ。
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